本を2冊紹介

かつての職場の先輩が書いた自伝的本を読んだ。
本のタイトルは控えておきます。

400ページに上る膨大な本。
子どもの頃から70歳くらいまでを書き残した。

驚くのは、誤字脱字が読んでいる限りひとつもなかった。
校正はご自分でやられたのだろうか?
べんさんの「しあわせの種」の本も誤字脱字がない。
何人もの目で何ヶ月もかかって校正した。
プロの目でも見逃すことが多いらしい。

この本、とにかく面白い。
なぜか?

地名、登場人物が実名で書かれている。
大酒飲みで金銭に無頓着な父親、亡くなるまで家族に迷惑をかけどうし。
祖母と母の確執、親戚のみなさんとの軋轢。
学校の先生。就職した職場での労働運動と対立した管理職の名前。
初恋や、お連れ合いとの馴れ初め。

当時の物価、鉄道の運賃、アルバイトや就職してからの賃金。
かなり詳しく書かれているので、一級の民俗資料になりそうです。

登場人物の描写が、あまりにも赤裸々なので、苦情や抗議がきたのではと心配。
書名を書くのを控えるのです。
それを見越したのか、非売品になっています。
10年前に発行されています。

文章力があり、読み手をグイグイ引っ張っていきます。
何より、地名も人物も、そのまま。
実名で書いた方がおもおしろい。

このブログも、書けないことが多くなって、面白くなくなったと思っている。
どうしたらどうなるのか?考えている。



もう一冊、読んでいる本を。

「打木村治作品集」まつやま書房1987年発行。
7つの短編が収められている。
その1遍。
『落日の賦』(小説は1982年に発表)

「天の園」を読んでいない人には、分からないと思うけど。
べんさん的大発見。

名著「天の園」の登場人物「ふゆちゃん」と、筆者の50年ぶりの再会の話が書かれている。
なつかしい「ふゆちゃん」。
60歳代のふゆちゃんは、子どもの頃に住んでいた唐子から都幾川の4〜5キロ下流に住むと。
どのあたりだろう?

28ページほどの作品、昭和57年(1982年)に書かれている。
「天の園」が1972年に発行。
「大地の園」が1978年。
その4年後になる。

打木村治さんは1904年〜1990年に生きた。
あの長大小説、天の園6巻を68歳、大地の園4巻を74歳で書かれた。
子どもの頃の思い出を70歳前後で書かれた。
「落日の賦」は78歳の時の作品だ。
恐れ入りました。
「天の園」のネーミングの話も書かれている。

亡くなられて35年。
もう少し、調べて見たい。
大地の園の「まり」のその後も知りたい。

8月のコンサートは川越を歌いたいと調べている。

この記事へのコメント

とっくん
2025年04月13日 08:44
べんさん、実名での文章は現実味をさらに帯びて、惹きつけられますよね。
僕も自分の名前を出されるのは苦手ではあるんだけど、AさんやBさん、たかはしさん(仮名)より、感情移入しやすいもんだよね。
遊心2
2025年04月15日 00:24
遊心2
2025年04月15日 02:57
あら、空メールを打ってしまいました。

時々、操作法ががわからなくなるし、このサイトに接続できなくなることもあります。
原因がよくわからないまま、あれこれ試行している間にいつの間にか回復していることもよくあります。

デジタルのSNSの世界はどうも苦手です。

というわけで、時々、アナログの世界に閉じこもることがあります。
ろうそくの明かりの下で、昔ながらの縦書きの手書きの手紙を万年筆でしたため、原稿用紙に向かってBの鉛筆で下書きする。

そして目が疲れたら、のんびりと夜空の星を眺める。

これが精神的に実に落ち着くのですね。

デジタルの世界は軌道に乗っている時は便利で快適だけど、少しでも外れると思うようにならずイライラさせられます。

さて、べんさんご推薦の打木村治の本を少しづつ読んでいます。
幸い、近くの図書館に「天の園」と「大地の園」が全巻そろっていました。
借りに行ったら開架図書には見当たらなく、閉架書庫に眠っていました。

「○○の園」というからてっきりキリスト教関連か外国が舞台の本かと思っていたら、明治から大正にかけての少年の成長物語、いわゆる児童図書でした。

主人公の名前が保(たもつ)、これ、実は著者 打木村治の実名なんですね。
きっと著者の少年時代を色濃く反映しているのでしょう。

読み始めるとすぐにぐいぐい引きつけられます。

昔、かわむらたかしという作家の「新十津川物語」という北海道の開拓時代を舞台にした児童図書のシリーズに夢中になり、全巻そろえて繰り返し読んでいた時期がありましたが、この○○の園シリーズもはまりそうです。

早速、古本ネットで検索したら、うまい具合に全10巻セットが3000円台で売りに出ていたので即注文しました。関東地方の古本屋の方が300円ほど安かったのですが、たまたま行きつけの古本屋からも売りに出ていたので、店頭で受け取る(つまり送料無料)という条件で買い付けました。

送料だけで宅急便料金が追加されますから、結局はこちらの方が安上がりになります。

なお、最近は終活とかの身辺整理は一切止めて、気に入ったものは後のことを考えずに積極的に買い込むことに決めています。

その分、本やらガラクタがどんどん増えていきますが、どれもこれも愛着のある物なので、なかなか捨てられない。

幸い、娘達が家を出独立した後の部屋がそのまま残っているので、第二書斎、第三書斎として、物の置き場には当分困らない。

最近は屋根裏部屋を少し改修して私設天文台にしているので、すこぶる快適な空間になっています。

真夜中に、この秘密の部屋で、ロウソクかランタンの明かりに照らされて、お気に入りの本や石、その他愛蔵の品に囲まれてニンマリしている姿をご想像ください。

最近ではこんな物がお気に入りの品です。

キリスト教聖書のギリシャ語版原典(コイネー版)、
宮沢賢治が愛読したという島地大等編「漢和対照妙法蓮華経」(赤い経本)の復刻版、
思い切って購入した天然ブルートバーズの大型結晶、
立派な古代魚の砂岩化石、
昆虫・種子入り琥珀
フランス製の小型ナイフ、
リサイクルショップで見つけた格安の屈折望遠鏡
(口径70mmという明るいレンズがなんと1600円という信じられない低価格!)、
知人の形見分けで頂いた高級囲碁セット(天然蛤の白石、那智黒の黒石、正目のかや四寸盤)、
趣味で集めた世界のコイン、
下手の横好きながら集めた各種オカリナ、
ブラジルの市場で見つけたジャカランダの樹の彫刻、
中国の詩人陶淵明の「帰りなん田園に」の隷書体書掛け軸、
Zeissの接写用広角マクロレンズ付き高級一眼レフカメラ(かさばるので滅多に使わない)小谷村手作りの木製かんじき。
紫檀の木刀

まわりから見たらガラクタそのものでしょうが、思い出の詰まった品々は生きている内は手放すことできない物ばかりです。

失礼、話が脱線してしまいました。

元に戻って○○の園シリーズですが、読み始めると古き懐かしい少年時代が甦ってきます。

ネタバレになってしまうかもしれませんが、天の園は小学校時代、大地の園は旧制中学校時代、舞台は埼玉県の丘陵地帯の農村、そして川越です。

私の愛読書がひとつ増えました。

ありがとう、べんさん!